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4/21/2016

被災地で残念なこと(3)


妹が病院のお世話になったことに関連した残念なことですが、その病院は「熊本中央病院」。

妙に張り切った形にこだわるメガネの医者がいて、まだほとんど歩けない状態にも関わらず、妹は病院を追い出されました。

被災者が多く駆けつけ病院が混み合っている状態でもないのですが、今後重度の被災者を受け入れるためでしょう、ぎっくり腰程度の妹は、痛み止めとシップを処方され、待合室の椅子を並べただけの簡易ベットで何の治療もされず放置されていました。

この対応に問題があるとは思いませんし、動けない状態だったのですから、逆に放置していてくれてありがとう、という感じです。
しかし、もう少しこのまま放置を続けて欲しかった。



実際には、避難時のぎっくり腰で病院を訪れてから36時間程度、ほとんど歩けない状態で、妹は病院を追い出されたわけです。
その理由が、「明日から一般外来を受け付けるため設営が必要」「その椅子を元に位置に戻したい」というもの。

大きな病院ですし、椅子が足りないわけでもスペースが無いわけでも、被災者が押しかけるわけでもなく、妹が椅子やスペースを使っていたとしても、病院としては何の問題もなく機能する状態です。


はっきり言いましょう、医者や看護師やボランティアの方が大勢居ましたが、その方々以外、つまり患者側の人間としてその場にいたのは妹を含め10名程度。
椅子の数は200ほどはあるようですが、患者側として使われている椅子は10程度という状況でした。
当然それだけの椅子を置ける病院の2Fフロアのスペースは広大ですし、使用されている椅子の数から分かる通り、開店閉業ガラガラと言える状況です。

しかし、病院到着後24時間も経過しないうちに、「設営があるのですぐに病院を出てください」と、並べられた椅子に寝ている妹に伝えに来たそうです。
妹は、「まだ痛くて動けないので、もう少しこのまま居させてください」と返答したそうですが、「食事も無ければ処置も出来ないので出てください」と強めに言われたそうです。
当然「食事など必要無いですし、とにかく痛くて動けないので、もう少し時間をください」と伝えたそうですが、まったく聞き入れて貰えないとのこと。
この状況で、私に電話が掛かってきました。

医者「病院より退去してください。」
私「本人動けない状態のようですが、症状を見て地震で逃げられる状態だと思いますか?その状態を見ながら追い出すということですか?」
医者「明日から外来を受け付けるための設営をする必要がありますので、ここに居てもらっては困ります。」

このような対応をする医者が存在することに驚きましたが、こんな医者に観てもらいたくはないので迎えに行くことにしました。

私「わかりました。しかし、今福岡に向かっているので遅くなります。それまで放置でお願いします。」

この時点で、私は熊本から福岡へ向かっていましたが、福岡での用事を早急に済ませ、マットを敷いたベット仕様のトランポで迎えに行きました。
しかし、高速道路は速度規制で一般道は驚くほど道が混んでいる状況で、病院に到着したのは0時をまわってから。

病院到着後、すぐに妹のいる2Fに向かったのですが、そこにいるはずの妹がいません。
予想していたほどの患者数ではなかったので、空いているベットにでも移されたのかと探したのですが、見つけた場所は1Fの玄関先にあるベンチ。
妹は、健常者でも長時間座っているのには適していないと思われる木のベンチに、ただ寝かされていました。

ふざけた対応をする医者に対し、文句のひとつも言ってやりたいところですが、誰もが余裕の無い状況ですし、お互いに無駄な労力は避けるべき状況だと我慢しました。
とりあえず顔は覚えましたし、落ち着いたらゆっくりお話しましょう。


「余震が続く中、腰を痛めて動けない妹を病院から追い出したあなた、あなたは何のために医者をやっているのですか?」


ちなみに、病院を追い出されてから3日経過しますが、妹はまだ痛くてまともに歩けず、不自由な避難生活を送っています。



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