□ 被災地で残念なこと(2) □

今回、賃貸マンションのドアが壊れ、自宅に入れない状態になった身内がいます。

ドア側の壁に大きくヒビが入ったことで壁ごと歪み、ドアの開閉が出来ない状態。
中の物を取るために、無理矢理バールでこじ開けたのですが、当然一度開けた扉は閉まらない。
仕方ないので貴重品と少しの着替えだけ持ち出し、トランポに積みました。

この住居のオーナーさんに今後の対応を聞いたところ、「とりあえずドアの中と外から南京錠などで施錠が出来る状態とします。その後、時期を見て壁を修理し、ドアを丸ごと交換します。」とのこと。
つまり、大きくヒビが入り歪んだ壁に対し根本的な対策が行われず、ヒビを埋めた後、新たなドアを埋め込むということらしい。

しかし、ドアが開閉出来ない状態で、目で見てわかるほどの歪みがある住居など、怖くて住めません。
早急に住まいを見つけるために、不動産屋さんなどにも連絡をしますが、当然のようにほとんどの不動産屋さんが営業していません。
そこで、住宅の早期確保を考え、市営住宅や県営住宅にも応募するため、市役所へ罹災証明を取りに行きました。



まず、今回のようなケースでは一部損壊となり、一部損壊の場合は関連写真などを提出するだけで、罹災証明が発行されます。
しかし、一部損壊としての罹災証明には、地震保険の申請が出来る程度の効力しかなく、殆どのケースで市営や県営住宅への優先権は得られません。

家への出入りが出来ない状態であっても、いつ倒壊するか不安になるような対策しかされない建物でも、一部損壊です。

まあ、ここは基準を定める必要があるのですから仕方ないこと。
とりあえず、一部損壊の罹災証明を持ち、市役所の住宅課へ出向きました。

つまり、提供予定戸数より申し込みが少なく、予定戸数が余るようなことがあった場合のために話を聞きに行ったということです。

そこで状況を説明し、住居の必要性を訴え、出来れば市営などに住めたらありがたい、という内容を伝えたところ、「まだ何も決まってませんし、詳細はホームページで発表します」とのお返事。
「ホームページでの発表はいつごろか、想像のレベルでも良いので教えて貰えませんか？」と伝えると、「具体的なことは言えませんので、頻繁に確認してください」とのお返事。

あなた方は同じ熊本に居ながら、被災者の状況をまったく理解していないのですか？

「ホームページを頻繁に確認してください」と簡単に言われますが、PCは？電源は？回線は？スマホやPCを持ちだした方でも、安心して電源が確保出来る状況でもなければ、頻繁にネットに接続出来るような環境は難しいと思います。

実際、私はノートPCを持ち出し、スマホなどのテザリングで回線を確保することは可能な環境ですが、バッテリーの持ちを考えると、連絡手段のひとつを失う可能性の高いテザリングは使えませんでしたし、スマホ単体のデータ通信も、連絡が出来なくなるリスクを避けるため、たまにツイッターで最新情報を確認する目的以外では使用しませんでした。

当然スマホ程度ならば車でも充電出来ますし、予備バッテリーどころか、予備端末まで複数持ちだして居ましたが、それでも避難生活の長期化も視野に入れなければならない状況では、無駄使いは出来ません。

簡単に言えば、避難生活を強いられている状況で、官邸ツイートは見る価値がありますが、熊本市のホームページなどに、貴重な電力を消費させるような価値はないと言うことです。

文字にまとめると、何でこの程度のことで腹が立ったのかもわからないのですし、回線や電源が確保出来る避難所で過ごすことの出来る現在では、腹が立ったことすら忘れるくらいなのですが、このときは、兎に角一言一言にトゲを感じ「おまえ、おれのことなめてんの？」と言いたくなる対応だったんですよ。


とりあえず、

「あなた方は何のために人なのですか？張り紙一枚、自動音声、自動販売システムなどで対応出来るようなお仕事を、何故人がしなければならないのか、意識したことはないのですか？貴重な税金がこのような人材に使われていることを残念に思わない日は来るのですか？」

とだけ簡単に伝え帰りました。


なったく同じ内容ですが、県庁の住宅課の方の対応はすばらしいものでした。
対応してくださった方も、現状車から出勤している状況とのことで、安心して住める住宅の必要性を良く理解しておられましたし、ホームページなどを頻繁に確認するなどの必要がないよう、様々な方向性、可能性を考えることの出来る、手書きの連絡先リストを下さいました。

現時点で、頂いたリストが役に立ったことは無いのですが、人が人のために状況を理解しようとしたうえで優しさを意識した対応、ちょっと小太りで見掛けは微妙な方でしたが、私が綺麗で魅力的な女性なら、あなたのような方を選びます。